椎間板ヘルニア手術と保存療法を長期比較した研究の紹介

椎間板ヘルニアの手術を受けた場合と、保存療法(リハビリ)を続けた場合にどちらがメリットがあるのかを調査した海外の研究があります。

参考/お勧め 腰痛ガイドブック 春秋社

この研究によれば短期的には手術した方が痛みが早く楽になるのだが、長期的に追跡調査を行うと治り方に差がないことがわかりました。

検証詳細

この検証は2002年11月~2005年2月に病院を受診した腰痛患者283人をサンプルにオランダの計9病院で行われた。
症状が6~12週続いていて画像検査によって椎間板ヘルニアが見つかった方たちが対象です。
手術は顕微鏡視下椎間板ヘルニア切除術、保存療法としては投薬と症状の減少とともに日常生活への再開を促すといった方法である。
まず手術が必要と診断されたのは141人で、そのうち125人が手術を受けた。
保存療法と診断された142人のうち、62人は6か月経過しても症状が緩解しなかったため手術を行った。
また、手術を受けた人の6%が2年以内に再度手術を行っていた。
手術の合併症は1.6%という結果になった。

別の研究では

また、大きく飛び出した椎間板ヘルニアは長期的にみると体の免疫機構の働きによって最終的にはマクロファージに食べられて消失することもわかってきました。

これらの研究もあり、ヨーロッパをはじめとした海外ではヘルニアが見つかっても手術という流れは消極的です。

一方、今だに日本では腰痛→画像検査→ヘルニア発見→手術 という考え方が根強く残っています。

患者さんの体の負担のためにも、その流れが消極的になっていくことが大切だと考えています。