病院などでは腰痛の方への対処法として腰痛ベルトやコルセットが一般的です。
特にレントゲンで異常がなかった場合は痛み止め、湿布、コルセットなどが処方されます。
このコルセットは腰痛に対して有効なのでしょうか?
有効性を示す研究はない
実は、慢性腰痛の方に対して腰痛ベルト、コルセットの有用性を示す研究はありません。
最新の研究では、8週間使用した場合、腰を支える筋肉が衰えるという報告もされています。
腰痛ベルト、コルセットに対して過度な期待は持たないほうが良いでしょう。
参考 腰痛診療ガイドライン2012
コルセットが腰痛に有効な場合も
一方、ぎっくり腰など、急性腰痛の時にはコルセットが有効な場合もあります。
有効かどうかの判定は非常に簡単です。
つけてみて痛みが楽になる、動きやすくなる、のであれば有効です。
ぎっくり腰が落ち着いてくるまでの間、一時的に使用するのが良いでしょう。
逆に、つけていても効果がよくわからない、ということであればつける必要はありません。
コルセットは腰痛予防になるのか?
一度ひどい腰痛を経験した方は痛くないときでも「予防」という意味合いでつける方もいらっしゃいます。
このような使い方に関しては、実はあまり意味がありません。
腰痛緩和・予防というより本人の精神安定のためにしようしていることが多いです。
上述したように、8週間の使用で筋肉の低下も報告されています。
効果を感じないのに予防としてコルセットを使うのは逆効果になっている可能性が高いので、外す方向で考えていく必要があります。
ただし、腰痛への不安が強く、精神安定として使用している人は徐々に外していくことをお勧めします。
不安により体がこわばってしまうと動きが不自然となり、その不自然な動きが腰痛の原因となってしまう場合があります。
参考
研究①
大手航空会社の手荷物ハンドラー642名を対象に、重量挙げ用ベルト群・1時間のトレーニング群・ベルト+トレーニング群・無介入群を比較したRCTによると、4群間の腰痛発症率・欠勤日数・就労制限日数・労災申請件数に差はなかった。http://1.usa.gov/13EOieQ
研究②
ウォールマート168店舗の13,873名を対象にした6ヶ月間におよぶ世界最大規模の前向きコホート研究によると、腰サポートベルトは資材運搬従事者の腰痛発症率も腰痛による労災件数も減少させないことが明らかとなった。http://1.usa.gov/14wOjWq